2020 年 20 巻 01 号 p. 4-19
本研究は,2018年 5月から 2019年 1月までの 20時間の中,公立小学校 1校 5年生 19名,6年生 15名を対象に, We Can! 1, We Can! 2.(文部科学省,2018)の中からそれぞれ1つずつの Unitを活用し,ゴール達成を目指すタスクベースの英語学習の学びのプロセスをベースにした。その中で,言語活動の間に入れる児童自身のフィードバックが,自己の「気づき」を促し,学習者の言語習得を促進する礎になるとともに,長期的な動機づけにもつながることを考察し,小学校英語における Directed Motivational Currents (DMCs)の可能性を探ることを目的としたものである。5年生と 6年生においては,それぞれ1つずつの Unitを設定し,5年生は Japanese Teacher of English (JTE)と 6年生は Assistant Language Teacher (ALT)と 80秒間のインタラクションを実施し,発話語彙数と発話の質を調査した。フィードバック前の言語活動とフィードバック後の言語活動の学習者が産出する言語について,語彙数の変容を比較し,動機づけとの関連をもとに,フィードバックから発話の質と意識がどのように変容するのか考察した。また,質問紙調査の3つの群(①関心・意欲,②技能に対する自信,③動機づけ)がフィードバック前と後での比較分析の結果,フィードバック後にこれらの3つの群は高まりを示した。言語活動の間に入れるフィードバックは,学習者の productive skillに影響を及ぼし,学習意欲を高め,小学校英語においても DMCを引き上げられることがわかった。課題として、意欲が最初か ら高い児童や児童が気づきやすい具体的なアプローチについて今後研究を深めていきたい。