2022 年 22 巻 01 号 p. 70-85
本研究では,国語教育と外国語教育の連携の可能性について,小学校国語科学習指導要領の記述を 参照しながら令和 2 年度採択の小学校国語科教科書を分析することを通して,外国語活動・外国語科 の授業実践で可能となる連携に関する活動案を検討した。具体的には,まず連携の視点とされる「こ とばへの気づき」について,第二言語習得研究の領域,言語意識教育の領域,中央教育審議会による 連携に向けての議論から,「気づき」の観点を「A:言語への気づき,B:運用上・コミュニケーショ ンにおける気づき,C:言語文化に関する気づき,D:言語に関連する他領域への気づき,E:伝える 内容や情報の構成への気づき」の 5 つの観点に整理し,これらの観点に関する小学校国語科学習指導 要領の記述と具体的な学習活動を,国語科の教科書を分析することを通して確認した。その結果,そ れぞれの観点について連携可能な学習活動が考えられることに加え,両教科 1 の教科書内で既に国語 教育と外国語教育で連携可能な学習活動が設けられているものもあることから,外国語授業 2 の指導 者がそのことを認識し,意識的に児童に国語科での学習内容を想起させながら外国語授業実践を行う ことで連携が可能になることも明らかになった。