林業経済研究
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北海道における高性能林業機械化の現局面と森林所有者の対応(自由論題論文,1994年秋季大会)
嶋瀬 拓也
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1995 年 1995 巻 127 号 p. 101-106

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抄録

我が国の林業をめぐる情勢は一層厳しさを増しており,森林施業の合理化,担い手の確保が喫緊の課題となっている。こうした状況の下,北海道においては全国に先駆けて高性能林業機械の導入がはかられてきた。しかし現段階においては様々な要因のため,これらの高性能林業機械化が必ずしも期待された効果をあげているとはいえない。その一つとして高性能機械化に即した施業方法の確立が遅れていることから,機械導入がコスト低減に結びついていないことがあげられる。高性能機械化に即した施業方法の確立には森林所有者の理解と積極的対応が必要となる。公的森林所有者としての国・道有林では,一部に動きがみられるものの,高性能機械化施策に対して概して消極的である。一方私有林においては条件が整えば高性能機械化に即した施業が実現される可能性があるといえる。高性能機械化を軸として林業生産の合理化をすすめるためには,まず高性能機械を作業仕組みのなかに取り入れてゆくための条件を明確にし,素材生産業者と森林所有者とが歩み寄ることが求められている。

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© 1995 林業経済学会
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