林業経済研究
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釧路湿原における湿原景観の環境価値の計測(自由論題論文,1995年秋季大会)
栗山 浩一
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1996 年 1996 巻 129 号 p. 45-50

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抄録
北海道の釧路湿原では自然保護と湿原開発との対立が生じており,新たな湿原管理のあり方や保全政策が必要とされている。本研究では,湿原の環境資源としての価値を「金銭単位」で計測することにより,湿原を保全することによる効果を調べ,湿原保全政策への提言を行うことを目的とする。分析手法はコンティンジェント・バリュエーション法(CVM)を用いた。この手法はアンケートにより環境保全のための支払意志額をたずね,環境価値を貨幣単位で評価するものである。また,支払意志額の質問形式はバイアスの比較的少ない二枝選択法を採用した。分析結果は,(1)景観価値の支払意志額は1世帯当たり平均すると年間4,251円であった。なお,釧路湿原にいったことがある世帯は5,666円/年/世帯,行ったことがない世帯は3,452円/年/世帯であった。(2)これを集計すると,観光客の評価額は年間8億9193万円,北海道在住一般市民の評価額は72億6098万円であった。(3)景観価値には原生自然が残されているか否かが影響しており,原生自然のイメージが低下すると,景観価値も低下することが判明した。
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© 1996 林業経済学会
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