林業経済研究
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森林・林業政策の改革方向と地域森林管理(テーマ:地域森林管理の主体形成と林業・山村問題,2010年春季大会)
石崎 涼子
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2010 年 56 巻 1 号 p. 29-39

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抄録

本稿は,政策設計に焦点をあて,現在の森林・林業政策に機能不全をもたらす要因とその改革方向を検討することで,公共政策を通じた森林管理の課題について論じるものである。検討の結果,(1)現在の森林・林業政策が抱える機能不全を打開するには,戦略的な視点をもった政策設計が求められること,(2)私有林においては,基本的に民間の主体的な判断が重視される必要があること,(3)森林・林業に関わる知識や知見,技術などの情報的な基盤の整備や強化が民間の意思決定を支援するうえで重要となること,(4)競争力の強化を目指す施策は経営主体への側面的な支援を主とし,公益確保を目指した施策は実効性のある監視体制の構築が必要であるとともに,所有者等の自発的な参画を重視した政策手段の活用も有効と考えられることを指摘した。こうした視点で構築された制度・政策的な森林管理においては,現場に密着しながらも充分な専門的知見を有するフォレスターを核とした地域森林管理の果たす役割が大きいと考えられる。

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© 2010 林業経済学会
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