林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
19世紀の秋田藩林政改革と近代への継承(テーマ:近代林学の歴史と環境保全-森林保続思想の世界史-,2012年春季大会論文)
芳賀 和樹加藤 衛拡
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 58 巻 1 号 p. 14-26

詳細
抄録

従来の研究では,近世の藩営林経営と近代の国有林経営の関連性が考察されることはなかった。本論文では,秋田を例にして,近世における藩営林の管理・経営システムの到達点と,その近代への継承について考察した。秋田藩は,19世紀初めに抜本的な林政改革を開始し,領内の林政を統一して,輪伐を基本とする高度な森林経営技術を確立していった。近代に入り,基本的には近世の藩営林を引き継いで秋田県域の官林が成立する。官林は当初秋田県が所管し,明治11年からは政府が直轄した。しかし,19世紀に確立された森林の管理・経営システムは,官林を経営する実務に長けた人材や,藩営林を管理・利用してきた山元の村々に蓄積されており,詳細な森林資源調査と計画的利用法が常に志向された。

著者関連情報
© 2012 林業経済学会
前の記事 次の記事
feedback
Top