林業経済研究
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自然公園における地熱開発の法的課題(テーマ:国立公園の新たな管理へ向けて-ニーズの変容と制度的対応-,2014年春季大会)
三浦 大介
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2014 年 60 巻 1 号 p. 22-33

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抄録

自然公園で行われる地熱開発を規制する法制度として,温泉法に基づく温泉掘削許可,自然公園法における行為の許可および届出制がある。温泉法に定める温泉掘削許可制度を,掘削の及ぼす悪影響を予防的に排除する目的で運用することは難しく,また,自然公園法の開発規制は,地熱発電事業の持つ公益性,および届出制の規制的効果の薄さから十分な役割を果たしえず,同地における地熱開発は今後,推進されていく可能性がある。他方,地熱開発の前にモニタリングを実施し,経年的に資料を収集することによって,地熱開発の持つ不確実性を払拭することができるかもしれない。モニタリングは法定外の手続であるが,このような事前調査のシステムを確立することが急務であろう。また,自然公園は法律学上,公物に該当するが,自然公園に求められる管理には,公物の維持・保全とその物理的利用に係る管理を構成要素とする,伝統的な公物管理の概念の枠組みを超える特殊性があることを認識すべきである。

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© 2014 林業経済学会
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