抄録
COP21パリ協定の合意を経て,温室効果ガス削減に向けた国際的な取り組みは大幅に加速しており,CO2の吸収源である森林資源への注目が集まっている。大規模な人工林を抱えるわが国において,森林資源は有効に活用されるに至っておらず,多くの木材を海外から輸入する状態に陥っている。本稿ではこうした状況を打開する選択肢の1つとして,米国で普及している森林投資ファンドの仕組みを導入することでの日本林業の生産効率化, 経営合理化の可能性を模索する。この観点から,米国における森林投資ファンドの意義を整理すると共に,歴史的背景の違い,長伐期の下での投資の超長期性,林地資産の価値評価方法の違いが,米国と比較した際に,日本における普及の主な阻害要因になっている現状を明らかにした。森林投資ファンドに対する受け止め方の違いは,日米の森林資源や公共政策に関する考え方の違いに起因しており,バイオマス発電向けのエネルギー植林のような事業採算性の高いと見込まれる森林投資を先行事例として議論することが,本稿で検討したような阻害要因を克服できるかどうかの試金石となる。