抄録
拡大造林は森林の公益的機能を損ねたため,失敗であるという意見がある。また,造成された人工造林地は今後の利用方法を考えなければならない。一方で,拡大造林に関する研究には,所管による分類の未整理,「拡大造林地面積」の把握,造林の担い手に関する情報の消失といった課題が残る。本稿は所管別の拡大造林を把握すること,拡大造林地面積を推計することを通して,拡大造林の実態解明について再検討した。まず,拡大造林は所管別に造林前の土地の特徴が異なることを再確認し,今後の拡大造林地の利用を考える際にも所管別の視点が重要であることを論じた。次に,拡大造林地面積は,推計式に課題が残るものの,1960年以降の造林による1980年時点の拡大造林地が約400万ha(森林面積の約16%)で,そのうち約200万haを私営が占めることが推計された。また,元未立木地等への拡大造林は国営,公営よりも私営の方が高いことが確認できた。