林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
大規模流通と小規模流通が並立する岩手県産材流通のあり方に関する研究
岩手県森林組合連合会を事例に
厚味 英髙田 乃倫予 白旗 学伊藤 幸男山本 信次
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 70 巻 3 号 p. 50-58

詳細
抄録
日本における国産材や県産材の流通業を大規模と小規模の2つに大別した際,大小が並立する重層的な生産システムによって木材産業の持続性を担保していく必要があると述べられているが,国産材や県産材流通に関する研究は大小それぞれ個別に着目しているものが多い。本研究では同一地域において大小2つの流通に携わる岩手県森林組合連合会を調査対象とし,文献調査と聞き取り調査を用いて2つの流通形態が並立可能な要因を考察し,今後の県産材供給のあり方を提言することを目的とした。本来,川上や川中と関わりを持つ県森連が,2000年代の自給率低迷を受けて県産材利用拡大を目的とした木とくらしの相談所を設立する。さらに共販事業に加えて大型工場への直送も担い始めた結果,現在は大規模流通と,地域の製材工場・工務店と連携して家づくりを行う小規模流通の双方を行う組織となった。大規模流通は木材部の経済的な面を支え,木とくらしの相談所は川上から川下を繋ぐ役割を担い,経済性や収益性の追求では生まれない社会関係資本の構築に寄与している。このことから,大規模流通で事業を動かし,小規模流通を通して川上から川下の連携創出が可能となっていると考えられる。
著者関連情報
© 2024 林業経済学会
前の記事 次の記事
feedback
Top