日本女性骨盤底医学会誌
Online ISSN : 2434-8996
Print ISSN : 2187-5669
本邦の骨盤臓器脱に対する手術療法の実勢調査
中田 真木古山 将康高橋 悟水沼 英樹高松 潔若槻 明彦
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 13 巻 1 号 p. 80-86

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抄録

日本産科婦人科学会女性ヘルスケア委員会は、骨盤臓器脱(以下、POP)の外科治療に関する実勢を把握するために2014年8-9月に《本邦の骨盤臓器脱に対する手術療法の実態調査》を行った。本調査は全国規模のオンラインサーベイで、日本産科婦人科学会専攻医指導施設(656施設)と日本女性骨盤底医学会会員の所属する泌尿器科(244施設)に回答を依頼した。診療体制、診療方針、および2013年中の診療統計に関する質問に426施設が回答した。

回答した施設によって2013年中に合計5921例のPOP手術が行われ、内訳は経腟メッシュ手術47.7%(99)、その他の腟式整復46.1%(213)、開腹/恥骨裏手術1.3%(17)、鏡視下手術4.9%(46)であった(括弧内は実施施設数)。経腟メッシュ手術を第一選択とする施設、適宜実施する施設、非実施の施設は、この順に20.4%、15.6%、60.8%であった。Clavien-Dindo分類に基づく周術期合併症は、Grade III、IV、Vの順に38例、1例、および2例であった。メッシュ関連の有害事象は、腟内、膀胱内腔、直腸内腔への露出がそれぞれ192例、7例、2例に遭遇され、腟の拘縮や狭窄は7例に生じていた。

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