2019 年 16 巻 1 号 p. 31-34
[目的]Uphold 型TVM手術において、術後排尿困難の遷延因子を検討した。
[対象]全214 例を、術後5 日目で残尿量100mL 以上の排尿困難遷延例(以下、遷延例)と100mL 未満の順調例にわけて検討した。
[結果](1)83 例で尿失禁手術を、15 例で腟後壁処置を併施していた。Capio 使用は39 例だった。 遷延例は50 例(23.4%)であった。(2) 年齢、経産数、身長、BMIで差はなかった。腟脱症例は順調例に23 例(14.0%)あったが、遷延例になかった(p=0.006)。(3) 併施手術で差はなかった。Capio 使用例は、順調例の23 例(14.0%)にくらべ遷延例では16 例(32.0%)と多かった(p=0.003)。(4)Capio を用いず併施手術のない82 例を、遷延例9 例と順調例73 例にわけ検討した。術前の膀胱瘤が強い症例(Ba 点+2 以上)は順調例24 例(32.9%)に対し、遷延例6 例(66.7%)と多くみられた(p=0.047)。術中出血量は順調例の41.1 ± 51.4mL に比し、遷延例では91.9±98.2mL と多かった(p=0.020)。後腟壁剥離腔の止血縫合を要した症例は、順調例1 例(1.4%)に対し、遷延例2 例(22.2%)でみられた(p=0.0017)。
[結論]TVM 手術における術後排尿障害の原因としては仙棘靱帯周囲の剥離操作および閉鎖孔方向への広範な剥離が強く関与していると思われる。