日本女性骨盤底医学会誌
Online ISSN : 2434-8996
Print ISSN : 2187-5669
腹腔鏡下仙骨腟固定術の治療成績と導入時の工夫
茗荷 舞星野 香庄 とも子中島 大輔吉村 和晃
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 16 巻 1 号 p. 26-30

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抄録

背景:骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic sacrocolpopexy: LSC)が保険収載後 4 年が経過し、急速に普及しつつある。しかし難易度が高く時間がかかるため導入の際には工夫が必要で、また日本での周術期合併症や再発予後についての報告は少ない。今回我々は、当院で施行したLSC200 例について後方視的に検討し、手術導入時の工夫と手術成績について報告する。 方法:年齢、BMI、手術時間(=気腹時間)、出血量、周術期合併症、POP-Q2 度以上の再発率、排 尿機能変化、QOL スコアを診療録より後方視的に入手し解析した。導入初期は65 歳未満の痩せた症例を選択し、主に膀胱側のみにメッシュを挿入するシングルメッシュLSC を行い、後壁補強の必要な症例に対しては、経腟的に後壁形成術を行った。手技に慣れるにつれ適応を拡大し、膀胱側と直腸側にメッシュを挿入するダブルメッシュLSC を増やしていった。 結果:全200 症例の平均年齢は63.1 ± 7.1 歳、BMI 23.8±2.8、手術時間122±38 分、出血量56± 133ml であった。術後平均観察期間は10.2±9.1 ヶ月(1-36)で、POP-Q2 度以上の再発は6 例(3%)であるが再手術を必要とした症例はなかった。術後尿失禁は26 例(13%)に発症し、尿道スリング手術を施行したのは6 例(3%)であった。 結語:LSC は再発率が低く、患者満足度も高い手術である。LSC をスムースに導入するためには、最初は シングルメッシュLSC から開始し、経験を積んでからダブルメッシュLSC を含めて少しずつ適応を拡大していくとよい。

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© 2019 日本女性骨盤底医学会
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