日本女性骨盤底医学会誌
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当院における腹腔鏡下仙骨腟固定術の術式の変遷と工夫
岡添 誉伊藤 文子山﨑 真理平間 裕美
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2019 年 16 巻 1 号 p. 61-65

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抄録

当院では骨盤臓器脱に対して2016 年8 月より香川県下で初めて腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic sacrocolpopexy; LSC)を開始し、2018 年12 月までに81 症例のLSC を施行した。 手術方法は、フランス式のダブルメッシュ法を参考に、子宮腟上部切断後、腟後壁は可能な限り直腸腟間を剥離、腟前壁は外尿道口より2 ~3cm 程度まで剥離し、前後腟壁にメッシュを留置し子宮頸部で連結後、前壁のメッシュアームを仙骨岬角前面の前縦靭帯に固定している。 当院で術式を工夫してきた項目は、①ポート位置・サイズ、②前縦靭帯の露出・運針のタイミングと運針方向、③付属器の温存の有無、④使用メッシュの変更、⑤前壁メッシュのアンカリング数、⑥後壁メッシュアンカリング位置、⑦前縦靭帯へのメッシュ固定時のテンション、⑧腹膜縫合である。 前縦靭帯へのメッシュ固定時のテンション調節については、開始当初、子宮頸部ができるだけ頭側に引き上げられるようにやや強めのテンションで前縦靭帯に固定していたが、過大な張力により術後再発や術後腹圧性尿失禁が起る可能性を考え、現在では固定の前に気腹圧を下げた状態でテンションフリーとなる位置でメッシュを固定している。また、腹膜縫合についても子宮頸部のメッシュ固定部位に過度のテンションがかからないように巾着縫合から、前縦靭帯への固定の後にノットフリー縫合糸を用いた、高位でダグラス窩を閉鎖する方法に変更している。 今回これまでに当院で行った術式の変遷や工夫について考察し報告する。

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