日本女性骨盤底医学会誌
Online ISSN : 2434-8996
Print ISSN : 2187-5669
Persistent Descending Mesocolon を伴う直腸脱合併骨盤臓器脱対してLaparoscopic Sacrocolpopexy with Ventral Rectopexy を施行した1 例
加藤 健宏森岡 淳小林 聡高木 健裕神野 孝徳堀 明洋
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 17 巻 1 号 p. 19-23

詳細
抄録

症例は手術歴や腹膜炎既往のない86 歳の女性で、脱肛症状で当院を受診し、直腸脱を伴う骨盤臓器脱の診断でLaparoscopic Sacrocolpopexy with Ventral Rectopexy(LSC+LVR)を予定した。術前CT で、下行結腸は左腎前面で正中に偏位し左腸骨内側にSD junction を認めず、左側結腸間膜の後腹膜への先天的癒合不全であるPersistent Descending Mesocolon(PDM)と考えられた。術中所見は、S 状結腸が骨盤右側から回盲部、小腸間膜に広範に癒着しており、これを剥離することで骨盤腹膜が剥離され右尿管及び内腸骨血管が露出、仙骨岬角の高さで一層深く下腹神経背側を剥離しL5S1 前縦靭帯を露出しanchoring suture を行った。以降は型通りLSC+LVRを行い、腹膜閉鎖は通常より長い距離となり、頭側ではS 状結腸と小腸間膜や回盲部との縫合となったが完全閉鎖した。手術時間は190 分、出血量は少量で、合併症なく術後7 日目に軽快退院。術後1 年半現在、再発所見を認めない。PDM 症例はS 状結腸が小腸間膜や骨盤右側に広範に癒着していることが多く、L5S1 前縦靭帯剥離及び腹膜閉鎖が高難度となる可能性が示唆されたため、今回当科で経験した症例を報告する。

著者関連情報
© 2021 日本女性骨盤底医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top