日本女性骨盤底医学会誌
Online ISSN : 2434-8996
Print ISSN : 2187-5669
骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術後の腹圧性尿失禁の罹患率とリスク因子の検討
佐藤 広高大塚 勝太安倍 弘和佐藤 克彦
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2021 年 17 巻 1 号 p. 92-99

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抄録

(目的)術前のprolapse reduction stress testing(PRST)陰性例に対してlaparoscopic sacrocolpopexy(LSC)を行い、術後stress urinary incontinence(SUI)の罹患率とリスク因子について検討することを目的とした。

(方法)本研究は後方視的な観察研究である。Pelvic organ prolapse(POP)に対して術前にPRST を行い、術後SUIの有無を確認した。82 例を対象とし、術後3 ヶ月、12 ヶ月時点に質問票(ICIQ-SF)を用いて術後SUI を評価した。

(結果)LSC の術後3 ヶ月、術後12 ヶ月のSUI 罹患率は、術前SUI がある症例では43.2%、37.8%、術前SUI がない症例では24.4%、13.3% であった。術後SUI のリスク因子は、術前のSUI(OR4.03、95%CI;1.26-12.9、P=.018)、ステージ3-4 の膀胱瘤(OR5.31、95%CI1.65-17.1、P=.005)、出産数(OR.387、95%CI.15-.997、P=.049)であった。

(結論)LSC 術前にPRST 陰性例であっても術後SUI のリスクについて説明し、段階的手術を提供していくことが必要である。

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© 2021 日本女性骨盤底医学会
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