2021 年 17 巻 1 号 p. 92-99
(目的)術前のprolapse reduction stress testing(PRST)陰性例に対してlaparoscopic sacrocolpopexy(LSC)を行い、術後stress urinary incontinence(SUI)の罹患率とリスク因子について検討することを目的とした。
(方法)本研究は後方視的な観察研究である。Pelvic organ prolapse(POP)に対して術前にPRST を行い、術後SUIの有無を確認した。82 例を対象とし、術後3 ヶ月、12 ヶ月時点に質問票(ICIQ-SF)を用いて術後SUI を評価した。
(結果)LSC の術後3 ヶ月、術後12 ヶ月のSUI 罹患率は、術前SUI がある症例では43.2%、37.8%、術前SUI がない症例では24.4%、13.3% であった。術後SUI のリスク因子は、術前のSUI(OR4.03、95%CI;1.26-12.9、P=.018)、ステージ3-4 の膀胱瘤(OR5.31、95%CI1.65-17.1、P=.005)、出産数(OR.387、95%CI.15-.997、P=.049)であった。
(結論)LSC 術前にPRST 陰性例であっても術後SUI のリスクについて説明し、段階的手術を提供していくことが必要である。