2022 年 18 巻 1 号 p. 22-25
NOTES(Natural orifice transluminal endoscopic surgery)は自然孔を用いて内視鏡手術を施行する方法で、本邦でも2020 年1 月より経腟的に行うvaginal NOTES(vNOTES)のためのGelPOINT® V-Path が使用可能となった。今回、我々は骨盤臓器脱症例に対してvNOTES によるNative tissue repair を施行したので報告する。症例は66 歳2 妊2 産。3 年前から徐々に増悪する陰部下垂感を主訴に当科を受診した。子宮脱を主体とするPOP-Q stage Ⅲの診断で、GelPOINT® V-Path を用いて経腟的内視鏡下に子宮全摘術、両側付属器切除および腟断端仙骨子宮靭帯固定術を施行した。周術期合併症はなく、術後3 日目に軽快退院した。経腟手術と腹腔鏡手術の融合とも言える本法は、腹式手術より低侵襲な腟式手術でありながら、鏡視下に操作することで確実な断端固定と尿管狭窄などの合併症の回避が可能であり、骨盤臓器脱に対して有用な術式の一つであると考えられる。