抄録
近年、持続的な森林施業を行うためには、施業対象樹種の遺伝的多様性の維持が必要だと考えられるようになってきた。しかし、実際に施業が行われている森林の遺伝的多様性に関する情報はいまだ少ない。そこで本研究では、持続的な天然林施業が行われている東京大学北海道演習林において、山火事など大規模な攪乱後の先駆樹種で、代表的な有用広葉樹であるウダイカンバ(Betula maximowicziana Regel.)に注目した。そしてその高齢木集団が、施業対象となりうる地域スケールで、どのような遺伝的特徴を持っているのかを明らかにした。