抄録
ブナ(Fagus crenata Blume)の交配様式について解析を行った。分析材料には,林木育種センター東北育種場内に設定されているブナ育種素材保存園から得られた自然交配家系6家系の合計217個体を用いた。分析にはTakana et al (1999)が開発した4遺伝子座のマイクロサテライトDNAマーカーを用いた。 分析した217個体の内,173個体(0.797)については花粉親を特定することができた。これらの個体の内,自殖個体は1個体のみで,他殖率は0.994であった。花粉親としての寄与率が最も高かったクローンは三本木103で,0.434であった。花粉親としての寄与率はクローン間で大きく異なり,任意ではない交配が行われていると考えられた。