日本林学会大会発表データベース
第114回 日本林学会大会
セッションID: P1165
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樹病I
山形県におけるナラ類集団枯損林の林分構造と更新の実態
*斉藤 正一三浦 直美伊藤 聡
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抄録

近年、日本海側を中心に発生しているナラ類集団枯損被害は終息の目処がたっていない。ナラ類集団枯損被害林の特徴は、上層林冠の大部分を短期間に失うことであるが、日本の被害の最北端の山形県において、被害林の林分構造や更新の実態を調査した。 調査は、ミズナラもしくはコナラを主とした植生域において、健全、微害、激害の被害区分ごとに20m四方のプロットを各区分ごと6個設定して、林分構造や稚樹の生息に関する調査をした。 健全林では、高木層はナラ類が70%以上を占め、亜高木・低木層上部の植被率は低く、低木層下部にはユキツバキが優占し、草本層における高木性広葉樹は少ない。 被害林では、ミズナラ帯における激害林では、高木層の植被率が20%程度までに激減し、林床にユキツバキ等が繁茂する特異な林分構造になる。コナラ帯の激害林では、高木層の植被率は50%以上を保ち、ミズナラが枯死し、コナラが残存する。しかし、亜高木層以下には後継の高木性広葉樹の生育はまれである。 林床に生育する高木性広葉樹の稚樹による更新の可能性を検討した。30cm以上の高木性広葉樹が3,000本/ha以上かつプロット調査での出現率が80%以上の場合稚樹による更新可能とする基準により健全林と被害林の判定を行った。その結果、ミズナラ帯、コナラ帯、被害林、健全林を問わず稚樹による更新の可能性がないことが明らかになった。

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© 2003 日本林学会
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