日本林学会大会発表データベース
第114回 日本林学会大会
セッションID: P1166
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樹病I
ナラ類集団枯損林分の植生の変化
*舟尾 規子池田 武文中島 友弘高畑 善啓
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抄録

 近年、日本海側の各地でナラ類の集団枯損が発生し、問題となっている。この被害については、その原因、防除方法等に関しては様々な研究が進められている。しかし、これらの被害が森林にどのような影響を与えるのかといった、生態学的な観点からの調査はまだあまりなされていない。 本調査では、被害の終息した林分で四分法による植生調査を行い、被害前後で密度や優占度等がどのように変化したかを比較検討した。また、対象林分として、被害植生と似た、無被害林分での植生調査も行った。被害林分は京都、滋賀、福井の6林分、無被害林分は京都、滋賀の7林分である。 被害樹種は主にミズナラとコナラであったが、特にミズナラの枯損被害が激しく、被害の大きい林分ではミズナラの約8割が枯死していた。その結果として、ミズナラの優占する林分において、被害の影響が大きくなっている。 被害による森林への長期的な影響については、今後調査が行われていく必要があるが、今回の調査を行った時点で、すでにギャップにササが侵入・密生し、今後の森林の更新は不可能と思われる林分もあり、生態系における被害の影響の大きさがうかがえた。  

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© 2003 日本林学会
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