抄録
米国の「アパラチアン・トレイル」と日本の「四国のみち」を比較した結果、前者では当初から市民組織が中心となり、森林局など行政を巻き込む形で多様な組織の連合体が形成され、行政もコリドー内私有地買い上げなど支援に積極的であった。これに対して後者では官主導であり、その内部でも調整がないまま2つの組織によってそれぞれ整備が進めれ、維持管理が問題となっている。一方で、市民団体は独自に遍路道の保全を進め、3つの歩道が混在することになり利用者に混乱が生じている。 長距離歩道のように多様な土地所有にまたがる計画ではパートナーシップが重要であるが、一つの民間組織が主体となり行政が協力するという形式が望ましいと考えられる。これはコリドー保全のような今日的要請に迅速に対応するためにも不可欠である。