日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: J11
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林政 II
森林施業不足(放棄)がもたらすCO2吸収面への影響
山陰地方の戦後造林地を対象に
*米平 典生伊藤 勝久
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抄録

森林施業不足(放棄)がもたらすCO2吸収面への影響○米平 典生(島根大学大学院)    伊藤勝久(島根大学) 1.背景、目的近年、地球温暖化が問題視されているが、その原因物質の一つであるCO2の吸収源として森林のCO2の固定機能にも注目が集まっている。しかし、その吸収源である森林も、安価な外材の輸入量の増加に伴う国産材の低迷、育林作業費用に見合わない林業の採算性悪化などの深刻な林業問題を抱えており、整備が適切になされていないという現状にである。森林は適切に整備されていないと成長面に影響がでてくる。そこで、森林整備をすることで森林のCO2吸収面にどのような影響を与えるかを調べることで、地球温暖化抑制にどれだけ森林施業、利用が貢献できるかを地元の森林でかつ、放棄された森林で具体的に検証する。 2.方法実際に施業不足林と思われる森林にプロットをとり毎木調査を行う。そのデータを基に標準木を一本選び、樹幹解析を行う。年輪から年成長量を測り、そこから炭素吸収量を計算する。そして比較対照のため、比較的優良林と思われる森林についても同様の調査を行う。対象とする樹種は戦後大量に造林されたスギ、ヒノキについて行う。同時に島根県の標準作業工程と各林分における下刈り、枝打ち、除伐、間伐の3項目について作業履歴について聞き取り調査した。 3.対象地鳥取県日南町:スギ、ヒノキ各3プロットの計6プロット、島根県松江市:スギ5プロット、スギとヒノキの混交林1プロット鳥取県の事例では、対象地の日南町は林業に力を入れている町であり、育林作業も比較的実施している町である。対象地自体は町有林となる前にある会社が所有しており、作業はその会社がある程度まで適切に行っていた。島根県の事例ではプロット11以外は同一林家の所有であるが、明らかに作業の度合いに違いが見られる。これはヒアリングによると、手入れがなされている方は自宅から近いからという理由で整備されており、逆に手入れがなされていない方は自宅から遠いのと採算性の悪化が重なりかなり早い段階で施行が放棄された。4.結果 以下に島根県松江、八束森林組合に行った聞き取り調査で明らかになった標準作業工程と、各調査地の作業履歴について表にした(表1_から_3)。また樹幹解析によりあきらかになった日南町のスギについての胸高直径の連年成長量をグラフにした。(図1) 5.考察樹幹解析の結果、日南町のグラフを見ると、プロット2においては間伐のあとに顕著に成長量が伸びているが、間伐をしても成長量が伸びてない林分もみられる、これは間伐量が効果を得るほどの量に達していなかったといえる。

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© 2004 日本林学会
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