日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: P1034
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生態
コナラ当年生シュートにおける受光量と分枝特性の関係
*北條 良敬荒木 眞之
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抄録

コナラ属を初めとする多くの樹種において、その年のうちに芽が裂開し再び伸長する(ラマスシュート)ことを数回繰り返す現象が観察される。この現象は若い個体で多く見られ、樹冠拡張様式としてラマスシュート形成は無視できない性質と考えられる。そこでコナラを材料として、受光量が当年生シュートの生長・分枝様式にどのような影響を与えるかを調べた。 当年1次シュート(以下、1F)の長さ・角度・前年枝上の分枝位置・葉数を記録し、1F上の相対光量子密度(以下、RPPFD)測定とした。また、各1Fから分枝した全2次シュート(以下、2F)の長さ・葉数・分枝位置を記録し、そのうち数本について、1Fと同様の項目を測定した。3次シュートが分枝した後、同様の測定を行なった。1F上のRPPFDと1F(2F)から分枝した全2F(3F)の分枝数・合計枝長・合計葉数・最長枝長の全てに有意な正の相関がみられた。この傾向は、側枝よりも頂枝・頂生側枝で顕著であった。つまり、ラマスシュート形成には、局所的光条件および親枝の位置が重要と考えられた。また、親枝とラマスシュートの傾斜角の差とRPPFDの関係から、明るいと側方・暗いと上方へ伸長する傾向がみられた。加えて、1F(2F)のRPPFDと2F(3F)の長さあたり葉数(葉の混み合いの指標)の間には負の相関(1%)がみられたことから、強光条件下ほど樹冠拡張指向のラマスシュートを形成すると考えられる。これらの結果から、開葉後の親当年枝の局所的光条件に応じて、異なる構造をもったラマスシュートを分枝していると考えられる。

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© 2004 日本林学会
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