日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: P1048
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枯死根からの二酸化炭素放出速度測定の試み
*酒井 佳美漢那 賢作比嘉 正隆田中 永晴高橋 正通
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抄録

沖縄と北海道に埋設し,3年間分解した根リターバックによって分解に伴う根の呼吸量を測定した。根の分解による呼吸量は二酸化炭素放出量として,密閉法をもちいて測定した。使用した根のサンプルは,カラマツ、トドマツそしてコナラを用い、直径0-2mm(細根)、5-10mm(中根)と10-50mm(太根)の3つのサイズクラスを設定した。枯死根はチャンバーに入れて密封し,恒温装置内で5℃、15℃そして25℃の3段階に設定しインキュベートした。単位時間あたりの二酸化炭素濃度の変化を二酸化炭素放出速度とし、3樹種について直径クラスごとの平均値を示した(n=4-5)。枯死根からの二酸化炭素放出速度は温度上昇に伴って指数関数的に増加した。同一樹種内の直径による差は沖縄ではほとんどなかった。北海道では中根と細根とでは差は小さく、太根はそれらに比べて非常に低かった。3樹種で比較するとコナラが最も高く,次いでトドマツそしてカラマツの順に低くなった。沖縄と北海道とを比較すると,太根では沖縄の方が二酸化炭素放出速度は高く、中根と細根では北海道の方が高かった。根の分解速度は北海道に比べて沖縄が非常に速かった。樹種で比較するとコナラの残存率が最も低く,カラマツとトドマツはほぼ等しかった。沖縄でのコナラを除いて,根の直径が大きいほど残存率は高かった。北海道では根の直径が大きいほど二酸化炭素放出速度が低く、それと共に残存率が高くなった。沖縄では直径による差がほとんど無く、残存率は北海道と比べて非常に低かった。温度は分解速度の影響要因として重要であり、沖縄の方が北海道よりも分解が進んでいる原因の一つとして気温と地温が高いことが挙げられる。しかし、二酸化炭素放出速度は,太根を除いて分解があまり進んでいない北海道の方が高いという結果となった。

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© 2004 日本林学会
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