日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: P2051
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Landsat-ETMデータを利用した新潟県スギ人工林における林分因子の解析
*伊藤 幸介阿部 信行
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抄録

昨今、森林に対する公益的機能の維持増進や、二酸化炭素の吸収及び固定、さらに森林整備に伴う雇用確保などの期待が高まっているが、実際に森林施業を行う上でも森林情報の把握及びデータベース化は不可欠である。これまでにも森林GISや空中写真といった技術の利用がそれらに大きく貢献している。近年、衛星センサ技術開発の発展によりリモートセンシングの利用可能性が大きく向上しており、広域かつ即時的な情報の提供が可能になっている。それらの技術を用いて材積、樹高等の林分因子を推定することが可能になれば、林分の情報や資源量を広範にわたって推定することができる。これまで、衛星データを利用して森林における林分因子との関連性について研究した例は種々あったが、対象とする範囲を市町村単位等に絞り込んだものが多く見られた。そこで本研究では県単位という広範囲のデータを利用して林分因子について解析することを目的とする。 本研究の対象林分は新潟県のほぼ全域におけるスギ人工林である。今回の研究では、新潟県森林研究所が県全域にわたって行った高齢林を対象とした林況調査での、100プロットにも及ぶ毎木調査データを使用させていただいた。使用した衛星データは、2002年9月2日撮影のPath-108、Low-34のLandsat-ETMデータである。さらに、標高及び斜面方位データを得るために国土地理院刊行の50mメッシュ(標高)を使用した。解析にはERDAS社製IMAGINE8.6を使用した。 毎木調査については林齢50年から80年の高齢級のスギ人工林を対象に2003年6月から9月にかけて行われ、40m×40mの方形プロットを設定し、プロット内全立木の樹高、胸高直径等を測定し、被害木の状態等も調査した。そして測定されたデータを元に、プロット毎のhaあたり材積・本数密度、平均樹高、平均胸高直径、胸高断面積合計を算出し、それらを林分因子として使用した。そして各プロット位置におけるLandsat-ETMデータのDN(Digital Number)及びNDVI(正規化植生指数)と林分因子との関係を調べた。その際50mメッシュについてIMAGINE8.6のAspect処理を施し各プロットの斜面方位データを得、解析に使用した。 新潟県ほぼ全域における毎木調査プロットに対応するDN、NDVIと林分因子との間には有意な相関はみられなかった。そこで標高、斜面方位、地域等を考慮にいれて関連性を調べてみたところ、有意な相関を示したものがいくつかあった。

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© 2004 日本林学会
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