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第115回 日本林学会大会
セッションID: P3117
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土壌中の非晶質成分が土壌微生物のP利用に与える影響
*佐藤  冬樹Giesler ReinerIlstedt UlricNordgren Anders
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抄録

土壌表層が強いリン吸着能を持っている亜寒帯森林では、通常N-limitedである森林生態系がP-limitedになっている可能性がある。この場合、土壌中における鉄やアルミニウムの存在状態が植物や微生物による土壌中のP利用と強いかかわりをもつことが予想される。 著者等はスウェーデン北部に森林地帯において土壌表層部における鉄やアルミニウムの集積が土壌微生物のP利用に与える影響を、土壌呼吸に関するインキュベーション実験により調査した。その結果、非晶質のFeやAlの多い土壌ほど微生物によるP利用を制限することがわかった。また、これらの土壌では、少量の無機態Pを添加することにより、呼吸速度は200%以上増加し、土壌からの緩やかなPの放出が微生物活性の制限因子となっていることが推定された。また、土壌呼吸速度が1mgCO2/hになるまでの積算CO2放出量は、ピロリン酸抽出のAL+Feと強い相関を持ち、有機物と複合体を形成している鉄やアルミニウムが微生物活性に大きく影響を与えていることが分った。 一方、土壌中のリンの分画を試みたところ、土壌の鉄やアルミニウム酸化物と結合している有機態リンが主体を占めており、微生物が非晶質物質に結合しているリンを利用し、利用のしやすさは土壌中の鉄やアルミニウムの存在形態に依存することが明らかとなった。

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© 2004 日本林学会
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