サクラの衰弱・枯死に伴い発生するナラタケモドキの感染方法を解明するため,つくば市内の3つのサクラ並木において子実体および菌糸膜を採取し,分離菌株の対峙培養を行い,ジェネットの分布を調べた。その結果,3調査地において,それぞれ5,8,6のジェネットが識別された。並木上に連続して発生する子実体群は同一のジェネットと識別され,無性的な感染方法によるものと考えられた。同一ジェネットがほぼ連続して発生する場合の寄主間の最大長さは104mであった。あるジェネットが他のジェネットに入り込んでいる場合の感染方法は胞子感染と考えられた。胞子感染を助長する要因として,草刈り機による下刈り時のサクラ樹幹への傷付けが推測された。