2003年8月に北海道日高・十勝地方に大きな被害を引き起こした台風10号災害が,厚別川流域の河畔林に及ぼした被害状況と,流木の堆積量,被害地の地形的要因について,空中写真判読と現地調査により解析した。河畔林に捕捉された流木の量は,河畔林から流出した立木量よりも多かった。河畔林の消失した場所は,氾濫時の流路の中心近くに多く分布していた。これらの結果から,今回の災害では,蛇行する流路が氾濫により直線化し,そのショートカット部分に存在した河畔林が消失したものの,河畔林全体としては流木の供給源としての機能と同等以上に,捕捉帯としての機能が働いたと考えられる。