日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: A15
会議情報

造林
スギ苗の苗高とシカ食害の危険率
*野宮 治人
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

現在、増えすぎたシカによる林業被害が大きな問題となっている。シカが高密度で生息する地域では、新植した苗木が激しい食害を受けることが報告されている。一般的に苗高が120~150cmを超えると主軸先端への食害が減少するとされるが、それより低い苗木でも高さによって食害を受ける危険率は異なると予想される。食害を受けやすい高さ範囲を明らかにするため、シカの推定生息密度が約20頭/km2である熊本県球磨村のスギ新植地で、普通苗(36cm)と大苗(71cm)のそれぞれ200本について苗高と食痕高を継続測定した。シカが一口で採食したと判断された部位を1つの食痕と数えた。苗高を30~100cmまで10cm単位でクラス分けし、食痕数を高さ10cm単位の区画で集計した。その結果、苗高70cmまでは主軸先端を含む最上位区画の食痕数が最も多くなった。しかし、苗高が大きくなると枝葉の量が増えるため苗木あたりの総食痕数が増加する。このことを考慮すると、最も食害されやすい高さは70~90cmの範囲であることが示された。

著者関連情報
© 2013 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top