ポット苗の欠点である根巻きを防ぐために開発されたマルチキャビティコンテナを利用したスギおよびヒノキ挿し木の発根率等について検討した。
キャビティ数24個・容量各300ccのマルチキャビティコンテナ(JFA300)を育苗容器とし,培土は軽量で保水性が高いココピート(C培土)を風乾重量で約47g/300cc,ココピートとパーライトを体積比2:1で混合した培土(CP培土)を風乾重量で約58g/300cc用いた。スギでは前報でC培土で良好な結果が出ているためCP培土は用いなかった。挿し穂は,スギは高岡4号とヤナセスギを,ヒノキは宿毛4号と須崎2号を供し,挿し穂長を10cmと30cmとし,切り口にインドール酪酸を粉衣し,2012年3月中旬に挿し付けた。発根率は挿し付け後6ヶ月時に確認した。
スギの発根率は,10cmの穂長で高岡4号(88%)>ヤナセスギ(60%)であったが,30cmの穂長では両方とも100%であった。ヒノキの発根率を比較したところ,穂長は10cmより30cmの方が高かった。品種差は,いずれの条件でも宿毛4号>須崎2号であった。培土による違いは明確ではなかった。