抄録
マツノザイセンチュウ(ザイセン、Bx)とニセマツノザイセンチュウ(ニセマツ、Bm)の個体数比が媒介昆虫に保持される線虫種と個体数に及ぼす影響を明らかにするために、青変菌Ophiostoma minusを繁殖させたアカマツ小丸太に、雑種崩壊する2種線虫の個体数比だけを変えて(7区)マツノマダラカミキリ幼虫とともに接種した。各区の繰り返しは17であった。成虫が脱出するとすぐに、成虫と人工蛹室壁から線虫を分離し、それらを数えてから,rDNAの遺伝子型を調べた。実験期間中に95 頭の成虫が脱出した。脱出直後の蛹室壁に残った線虫数と材内で生産された線虫総数は区間で有意な差があったが、成虫体に伝播された線虫数は区間で差がなかった。生産された線虫総数が多いほど、成虫に移った線虫数は増加したが、その増加率に区間の差があった。成虫体内のBx/Bx頻度は初期のザイセンの割合が0.9,0.7,0.5である時、約0.9であったが、0.3と0.1である時、約0.1であった。成虫体内のBm/Bm頻度はその逆であった。材から成虫体へ移るBx遺伝子の平均頻度はザイセンの初期割合が0.5の時最大であった(0.8)。