抄録
台湾産マツノマダラカミキリを飼育して休眠の性質を調べた。孵化幼虫を97本のアカマツ小丸太(長さ20cm,平均直径6cm)と27本のアカマツ切枝(長さ15cm,平均直径2cm)に一頭ずつ接種し,25℃長日条件(16時間明期8時間暗期)で飼育した。その結果,小丸太から成虫49頭が脱出した。幼虫接種から成虫脱出までの平均期間は93日であった。成虫脱出のない小丸太を2群に分け,飼育開始の140日後にA群を10℃短日条件(16時間明期8時間暗期)に,B群をそれまでの条件に置いた。A群を142日後に25℃に戻したところ,平均43日後に成虫が脱出したが,25℃に357日間置いたB群は終齢幼虫のままであり,本亜種の随意休眠が確認され,58%の休眠率を示した。一方,切り枝から成虫20頭が脱出し,1頭が幼虫休眠に入った。このことから,利用可能な餌量の減少につれて非休眠率は高くなることが示された。次に,クロマツ小丸太(長さ15cm,平均直径7cm)に1または2頭の孵化幼虫を接種して25℃で飼育したところ,1頭飼育と2頭飼育の非休眠率は48%と78%となり,非休眠率が密度の影響を受けることが明らかになった。