抄録
【目的】福島第一原子力発電所事故に起因する放射性物質の低汚染地域は東日本の広域に及ぶ。キノコは低汚染地域であっても比較的高濃度の放射性Csを含むことが多い。そこで低汚染の森林地域におけるキノコと土壌の放射性Csによる汚染状況を明らかにすることを目的とした。
【方法】東京大学の6地方演習林においてキノコとその潜在的な基質を2011年秋に採取し,134Csおよび137Csの濃度を測定した。
【結果】放射性プルームの広がりの延長上にある秩父演習林ではキノコとリターで比較的高い放射性Cs汚染が認められた。リターの汚染は千葉演習林や富士癒しの森研究所まで広範囲に広がっていたが,一部のキノコを除きリターよりもキノコの方が放射性Csの濃度は低かった。北海道演習林および生態水文学研究所では今回の事故による放射性Csは確認されなかった。また,大気圏内核実験あるいはチェルノブイリ事故に由来すると推定される137Csもキノコと土壌で確認された。