日本臨床外科学会雑誌
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症例
漿膜下層に腺癌成分を認めた胆嚢原発腺内分泌細胞癌の1例
荻野 真平石本 武史當麻 敦史真嵜 武落合 登志哉大辻 英吾
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2014 年 75 巻 8 号 p. 2300-2306

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抄録

胆嚢を原発とする腺内分泌細胞癌はまれで,通常,表層に腺癌,深層に内分泌細胞癌があると報告され,予後不良とされる.今回われわれは病理組織像が通常と異なる胆嚢腺内分泌細胞癌の1例を経験した.症例は85歳男性.直腸癌術後3年6カ月のCT,EUS,MRIで胆嚢に腫瘤を認め胆嚢癌と診断した.腫瘍が肝床から距離があること,高齢であることを考慮し,開腹下に胆嚢全層切除を行ったが,No.13aリンパ節の腫大と術中迅速診でNo.13aリンパ節と胆嚢管断端に癌細胞を認め肝外胆管切除,D2郭清を付加した.病理組織学所見では表層に充実性の胞巣を形成しCD56の免疫染色で陽性を示す内分泌細胞癌を,深層に腺管を形成する腺癌を認め,腺内分泌細胞癌と診断したが,これは通常の報告とは逆の組織配列であった.本症例は腺内分泌細胞癌が,多分化能を有する前駆細胞が同時に腺癌,内分泌細胞癌に分化し発生したことを示す症例と考えられた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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