【目的】我々は遺伝子組換えによるセイヨウハコヤナギの環境ストレス耐性を向上させる研究に取り組んでいる。本研究の目的は野生型ポプラの耐塩性の閾値を明らかにすることである。【方法】組織培養法によって増殖させたセイヨウハコヤナギの苗を人工気象室(面積240×340 cm2 ,高さ240 cm)において温度25 C˚,日長 16時間,照度 280 μmol m-2 s-1で水耕栽培し,高塩処理を行った。塩処理として,175~300 mM
塩化ナトリウム水溶液に苗の根を24時間浸した。その後,流水で5分間根を洗い,塩化ナトリウムを含まない水に移した。1週間後,苗の生死を判定した。【結果】5回の塩処理実験を行った結果,175,200 mM
NaClでの生存率は100%であった。225,250 mM NaClでは60%,275 mM NaClで0%となったが,300 mM NaClでは40%であった。この結果から,野生型のセイヨウハコヤナギは,24時間程度の短期間であれば,200 mM NaClまでの塩処理に対して枯死せず耐えられることが示された。