抄録
近年、人類の持続的発展のために、生物多様性保全の必要性が高まってきている。特に、日本は国土の約28%が人工林であることから、今後は人工林において生物多様性保全に配慮した森林管理を進めること、森林管理者が所有森林の現状を把握することが重要である。そのためには、人工林における広葉樹の多様性を評価することが有効であると考えられるが、研究例が少なく、その多くが林班小班という比較的小さなスケールで行われていることや、評価指標の有効な利用方法が整理されていないなど、問題点が多い。そこで、本研究では、将来的には森林管理者が利用することを前提に、人工林の生物多様性を広域スケールで評価する手法を検討した。調査対象は比較的調査が容易に行える1m以上の林内広葉樹とし、調査スケールは段戸国有林(約5300ha)とした。評価には種数、個体数、BA比、多様度指数を用い、それらをどのように利用することが有効であるかを、GISを用いて解析した。その結果、各指標には異なる特徴があるため、目的に応じて利用する指標を正しく選択することや、異なる特徴を持つ指標を組み合わせて使用することが有効であることが明らかとなった。