抄録
日本の森林施業は戦後の拡大造林政策以降、皆伐施業が採用されている。皆伐施業は伐出や保育が単純かつ効率的に行えるため、最も採用されてきたが、これに伴い、森林土壌の裸地化が生じ、土壌流出や地力の低下、景観の悪化等が懸念されている。そこで、日本では1970年代後半から環境に配慮した施業法として、複層林施業に関する研究が盛んになり、全国的に二段林の造成が進められた。二段林は複層林の代表的な林型であるが、更新木の成長不良や保残木伐採時における更新木への損傷、施業費用等の問題が指摘されている。その一方で輸入材の普及により、より低コストの施業法が求められている。そこで、近年では作業効率が良く、環境にも配慮した施業方法として、帯状・群状複層林施業が注目されている。しかしながら、帯状・群状複層林施業は比較的新しい施業法であるため、成長量や林分構造に関する知見が不足している。そこで本研究では、過去47年間で2回の群状伐採が行われている大分県湯布院町九州電力社有林の群状択伐林及び過去37年間で1回の交互帯状皆伐が行われている宮崎県諸塚村の帯状択伐林において、成長量と林分構造の推移を明らかにした。