1.はじめに
森林・林業作業時の防護被服や防護具のデザインの一環として作業者の被視認性を高め,注意や警戒を喚起させる安全色としてのオレンジ(O)・イエロー(Y)・レッド(R)の使用が増えている。これら安全色が発揮する効果は,どんな作業環境であっても有効でありたい。本報告では,我が国の夏季,森林の木々が緑色を呈する時期と,秋季,紅葉期における安全色の視認性について考察を行った。
2.方法
長野県駒ヶ根市から伊那市にかけての中央アルプス山域を試験地として,平成24年の夏季緑葉期と秋季紅葉期に撮影した森林樹木の画像を元に,環境を構成する代表的な色彩を抽出し,O・Y・Rの3安全色との間の色差を求めた。二色間の色差が大きい事を「色合いの乖離が大きく,視認性が高い」として評価した。
3.結果と考察
森林環境を構成する様々な色彩とOYRの3安全色との間では,夏季には良好な色差を保つ一方,秋季には紅葉した葉や落ち葉に近傍色が多く,色差が小さくなった。そのため,夏季と秋季では別の色彩デザインを用いるか,もしくは筆者らが既報にて提言した,無彩白色と組み合わせる方策が安全色効果の維持に有効だと考えられた。