抄録
【はじめに】近年、木材価格の低下等により林業採算性が悪化し、主伐後に再造林を行わない事例が増加している。再造林を放棄した場合でも、通常なら広葉樹林へと遷移していくことが期待されるが、近年のシカの個体数増加により広葉樹の天然更新も阻害されている状況である。そこで、本研究では再造林放棄地における広葉樹の侵入状況を、シカ食害の有無、隣接広葉樹林の有無と関連づけて調査した。【調査地と方法】津市美杉町において、主伐後2年間経過した再造林放棄地2箇所(広葉樹隣接地と非隣接地)に5m×25~30mの固定調査プロットを2個ずつ設置した。一方にシカ防護柵を設置し(シカ食害排除区)、もう一方はシカ防護柵を設置しなかった(対照区)。前生樹(樹高0.3m以上)の残存状況と新規に加入した実生の発生状況を記録した。【結果】残存していた前生樹はアラカシ、シイ類、ヤブツバキ、シロダモ等で、広葉樹隣接地の方が非隣接地よりも多かった。新規に加入した実生も広葉樹隣接地で多く、風散布の散布様式を示すケヤキやアカシデの出現本数が多かった。