抄録
ブナの豊凶予測技術はすでに北海道で開発されており、豊作は当年の雌花開花数が500個/㎡以上で、かつ前年比20倍以上と定められている。山形県でも北海道での条件をもとに予測を行っているが、気象や種子食性昆虫の密度の違いなどによって豊凶の度合いに地域差があると予想される。そのため、松井ら(2009)によって、山形で豊作になるには、当年の雌花開花数350個/㎡かつ前年比10倍以上と設定された。しかし、この研究では豊作を一度しか経験しておらず、実用するには信頼性が乏しい。そこで、本研究で5年間のデータを加え、山形県版豊凶予測技術の再度検証と精度向上を目的とする。調査は山形県内の19林分で行った。全142回の予測の結果、山形県版予測条件は89.6%、北海道版豊凶予測は90.8%と高い的中率を示した。このうち、豊作の的中率は山形県版で83%と北海道版(72%)よりも高かった。そのため、山形県では現在用いられている北海道版豊凶予測条件より山形県版豊凶予測条件が有効であると示唆された。今後はさらなるデータ蓄積によって精度をあげることで、豊作になる確率を天気予報のように表すことが可能となるだろう。