抄録
土壌呼吸量は地温や土壌含水率、炭素含有量、根量、土壌微生物量といった多くの要因によって支配されていると考えられるが、森林の土壌呼吸は空間変異が大きいため、環境因子のみで推定を行うことは不確実性が高い。そのため、二酸化炭素の放出過程を把握するには、まず土壌呼吸を規定する様々な要因を明らかにする必要がある。そこで本研究では、奥多摩演習林のスギ人工林において、根元に近い測点と根元から2m離れた測点、根元から4m離れた測点の3パターンを設け、計10ヶ所の測点を設置し、土壌呼吸速度を測定した。さらに、根呼吸と微生物呼吸を分離するために、根元から各距離の測点においてそれぞれ1ヶ所ずつ深さ40cm程度の根切り作業を行い、その後アクリル板を深さ約40cmで挿入した。同時に土壌呼吸量を支配すると考えられる様々な環境因子の測定も行った。さらにラガー内からオオイチョウタケの子実体が見つかったことから、土壌微生物との関係についても調査した。本発表では、土壌呼吸量に影響を及ぼすと考えられる様々な要因と土壌呼吸速度との関係、及び2011年6月から現在にかけての根切り処理前後の土壌呼吸速度の変動について報告する。