抄録
本研究では森林団地化による集約的間伐施業が森林経営の効率性、採算性に及ぼす経済的効果、および旧来施業システムとの効率性・採算性の違いについて分析した。分析方法は福井県の森林団地事例をもとにした、高密路網化、高性能林業機械の導入を前提とする車両系・架線系システムでの施業シミュレーション分析である。
その結果、労働生産性4~5㎥/人・日の新システムへの移行により、車両系システムでは676~6,451円/㎥、架線系システムでは3,748~9,624円/㎥の低コスト化が見込めた。収支分析では、森林団地形成費用および路網開設費用を当期収支に全て計上する場合、いずれの費用、収入条件でも採算性は見込めなかった。だが、両費用を、同団地の当期施業から主伐完了までの予想搬出材積量で除し、その単価を当期搬出材積量で乗じて当期費用とした収支分析では、路網補助、林業機械購入補助さえあれば、採算性を確保できることが分かった。また、森林所有者への還元率は、車両系システムでは399~4,331円/㎥、架線系システムでは109~4,542円となったが、この還元率は木材価格ピーク時の20%程度に過ぎないことが分かった。