愛媛県四国中央市土居町の西山国有林内に1993年(54号検定林)および1994年(55号検定林)に設定した抵抗性マツ検定林では、2005年よりマツ材線虫病による枯損被害が発生しており、2008年ごろから被害が激化した。54号検定林では、2009年までは累積枯死率に家系間差がみられたが、その後、被害激化に伴い家系間差が検出されなくなり、激害化すると抵抗性の強さに関係なく枯死することが示唆された。そのような抵抗性アカマツ林において、林分内の枯死木の伐倒駆除が被害量に影響するかを検討するため、2012年4月に54号検定林内の枯死木の伐倒駆除を行ない(駆除区)、55号検定林は伐倒駆除を行なわず比較対照とした(未駆除区)。6月~9月に、月1回2週間粘着トラップを設置し、捕殺されたマツノマダラカミキリの頭数を調査した結果、駆除区の方が全期間を通じてやや少なく、発生初期に特に少ない傾向が見られたが、有意差は見られなかった。また、11月末に枯損率を調査したところ、未駆除区の41%に対し、駆除区は22%と有意に低い値を示し(カイ2乗検定,P<0.001)、伐倒駆除が被害量低減に効果を示すと考えられた。