抄録
小笠原諸島において、侵略的外来生物の駆除により在来植生の自然回復を見込めるかを評価するために、父島列島の西島に外来樹種の枯殺試験区を設け、木本種のデモグラフィと成長を追跡した。トクサバモクマオウ(以下モクマオウ)は、西島では広く純林を形成して、在来植物を制圧しつつある。西島は、食植者であるノヤギとネズミの駆除を近年に達成したことで、諸島で行われる外来生物駆除のモデルとなり得る。そこで同島に、モクマオウの優占程度に分けて400m2の試験区を26カ所設け、うち15カ所と周辺において、モクマオウはじめ外来樹種を薬剤によって枯殺駆除した。胸高直径3cm以上の木本について約2年間の観察の結果、モクマオウが優占する場所では、それらの枯殺処理後に在来樹種の参入が促され、また在来種の肥大成長が促進されていると考えられた。その一方で、外来樹種の参入や成長も促進される傾向があり、また、枯殺処理によって在来樹種の死亡率も上昇している可能性があった。在来植生の効果的な再生技術を得るため、観察を継続する必要がある。