抄録
マツの小集団枯れにおいて、根系癒合を経由したマツ材線虫病への感染があることを明らかにした。そこで、本研究においては、根系感染と地上感染との病徴進展の違いを明らかにすることを目的とした。24本の供試木を地上接種、地下接種、対照の3グループに分け、各グループ4本について幹の肥大成長をモニターした。7月25日にKa-4系統のマツノザイセンチュウを1本あたり3万頭接種した。接種は6mと地際に行った。接種後は1週間に1回、樹脂浸出を観察した。9月26日に伐採して幹の含水率とマツノザイセンチュウの分布を調べた。肥大成長は、地上接種木において成長停止が早く発生した。樹脂浸出は地上接種木が早く停止した。幹含水率は地上接種木が地下接種木よりも有意に低かった。マツノザイセンチュウの分布は、地上接種木は接種部で多く、地下接種木は接種部位で少なく、梢端部で多くなった。以上の結果は、地上接種木が地下接種木よりも早期に病状進展が起こったことを示しており、地下接種木では接種部位でのマツノザイセンチュウの増殖が遅く、また、梢端まで移動した後に増殖することが、病徴進展を遅くしていると考えられた。