抄録
ナラ枯れ対策を効率的に進めるうえで,重要な要素のうちの一つは,ナラが生育する森林の非市場価値の正確な把握であろう.本研究では,京都市大文字山のナラ枯れ景観の改善に対して,京都市住民がどれだけの支払意思を有するか,CVM(仮想評価法)により解明した.アンケート調査は,2011年10月~12月にかけて実施し,309件の回答(回収率19.9%)を得た.パラメトリックモデルによる支払意思額推計は,利用可能な192件の回答にもとづき,平均値は3,255円,中央値は2,502円という結果が得られた.支払意思額を増加させる変数として統計的に有意な結果が得られたのは,一人当たりの年間所得対数値,大文字山への存在価値の認識,大文字山の過去10年の景観変化への認識,ナラ枯れ対策におけるボランティアの希望度,性別(男性)であることが明らかになった.平均支払意思額およびナラ枯れ対策費用の推定額より,費用便益分析を実施したところ,費用便益比は1.0となった.また,市民にどのようにボランティアにかかわってもらうかについても,アンケート結果より考察をおこなった.