【目的】多様な枯死材利用甲虫が立枯れ木を利用することが知られており、生物多様性保全のための立枯れ木保残が推奨されている。そこで、トドマツ人工林における立枯れ木の効果的な保残方法を検討するため、トドマツ立枯れ木を利用する甲虫群集が地上からの高さや腐朽状態で変化するか明らかにする。【方法】2012年、北海道三笠市のトドマツ人工林で腐朽レベル1から3のトドマツ立枯れ木合計33本から地上からの高さ別（low: 0-2m、middle: 3-5m、high: 6-8m）に3本ずつ1mの丸太を採取し、発生甲虫を捕獲した。また、各丸太の腐朽状態の指標として材密度、ピロディン打ち込み深さ、残存樹皮率を計測した。【結果】52種5146個体の甲虫を捕獲した（4185個体はマツコブキクイゾウムシ）。各丸太の平均出現種数は2.7種だった。Rarefactionの結果、lowとhighで種数に差はなく、middleで少なかった。CCAの結果、群集に影響する要因として、地上からの高さと腐朽レベルが選択された。主要出現12種のうち6種が高い位置の群集を特徴付けていた。
