抄録
背景・目的;広島県世羅町の森林資源活用プロジェクトの一貫として、高齢者への介入研究を行った。
実施要領;実施場所は同町黒渕のせら夢公園で、プログラムは、ネイチャーガイドによる自然観察等と地元食材の試食を含む。散策前後にPANASの記入が行われた。対象者は、介入1:認知症高齢者5名と介助者2名(女性3名、男性4名、平均年齢81.3歳(SD=12.2))で、3名は車椅子等利用の参加であった。介入2:健常高齢者12名(女性9名、男性3名、平均年齢73.1歳(SD=4.4))であった。
結果と考察;介入1においては、PANASの有意な変化は認められなかったものの、対象者が所属する施設職員によれば、普段見られない生き生きとした表情、言動であった。またこのプログラムに対する強い希望を示す発言も見受けられた。介入2、および介入1+2において、PANASのPAの有意な増加が認められた。介入1、2ともに対象者の当該プログラムに対する強い関心が見受けられ、予定時間が大幅に延長された。プログラ自体は高齢者にとって非常によいものであったと考えられるが、介入1では、そのことによって参加者の疲労を招き、更なる検討が必要であることが分かった。