VRS(仮想基準局方式)RTK-GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite System)は,位置情報サービス事業者が配信する補正データを携帯電話の通信回線を使用して受信することによって,GNSS受信機1台でリアルタイムかつ高精度に位置決定が可能な測量手法である。本研究では,VRS対応のGNSS受信機(Trimble Proシリーズ 6H)を対象として,2014年5月から8月に東京大学北海道演習林内で測位試験を行い,測位条件の違いが測位誤差に及ぼす影響を一般化線形混合モデルにより分析した。分析の結果,立地条件と測位方法,両因子間の交互作用の全てが採択され,測位誤差は補正データを使用しない(VRSではない)場合の同機種と比較して有意に減少した。また,交互作用の推定値からVRSを尾根・開放区で使用すると測位誤差が小さくなると推定された。一方,北斜面・閉鎖区では尾根・開放区よりも測位誤差が有意に増大した。VRSを利用することで,森林内でも条件によってはリアルタイムの測位精度が大きく改善することが期待される。